どうも!初めましての方は初めまして、初心者のWebサイト勉強のとみーです!
とみーはフランスのグランゼコールという大学と大学院の中間のような学校に2年間留学していた経験があるのですが、
フランスの成績評価ってすごく厳しい
んです!
参考 グランゼコールについて詳しくは、こちらの記事にまとめてあります。
日本の大学の場合、それなりに勉強をして試験を受ければ(いい成績は難しくても)単位がもらえることが多いですよね。
どんなに勉強しても単位がもらえそうにない…!
という絶望的な状況になることはほとんどないでしょう。
一方のフランスのグランゼコールでは、毎日毎日勉強して挑んでやっと
単位…もらえたかな…?
という状態でした。とみーのフランス語力不足も1つの原因としては否定できませんが、フランス人学生でさえ単位を落としまくっていたので、単位を取ることすら難しいという認識は何も留学生だけでなく現地の学生にもあるようです。
そのため、フランスの大学・グランゼコールには通常の本試験(期末試験)とは別に、単位に必要な点数が取れなかった学生のために追試験が用意されていることが普通です。
日本の場合、単位不認定の際に受けられる追試がそもそもない大学も多いですよね。
日本とフランスの試験に関する違い
日本とフランスでは試験の仕組みに違いはあまりなく、
1つの科目につき期末試験が1つあり、場合によっては中間試験もある
という点は共通しています。科目によって小テストがあったり、試験の代わりにレポートなどの課題が与えられたりするという点も同じです。
ただ、とみーの留学先では中間試験が複数回行われる科目もあったので、日本以上にテストの回数は多い傾向にあります。
試験回数が増えるほど1回ごとの重みが減るため大失敗する可能性は減る利点がある一方で、毎回の試験までコンスタントに授業に追いつき続ける必要があるため、それはそれでハードでした。
日本とフランスの大きな違いとして挙げられるのは、今回の本題となる追試の有無でしょう。
日本の場合は成績が出るのは比較的遅めで、答案が返却されたり追試が設けられたりすることは珍しいですよね。
試験後が長期休みであることが多く、その影響もあると思います。
一方フランスは、思うように成績が振るわない学生が少なくないため、追試は珍しくありません。また、追試がある場合はそのことを学生自身が認識する必要があるので、試験の結果が出るのは比較的早い傾向にあります。
科目によっては記述試験であってもわずか1週間程度で結果が開示されることがあります。
試験の答案が返却されるかは科目によって異なるものの、すべての科目に Consultation des Copies という採点後の答案を確認する機会が設けられており、ここで自分のできなかった部分を確認したり、先生から追試に向けてのアドバイスをもらったりすることができるのが一般的です。
フランスの大学・グランゼコールにおける試験の仕組み
すべての科目には Session 1 と Session 2 という2つの試験期間が用意されています。
Session 1
フランスも日本と同じように、同じ学期の科目の期末試験は特定の時期にまとめて行われることが多く、この通常の試験期間のことを Session 1 と呼びます。
中間試験や小テストは Session 1 よりも前に、各科目の授業時間内に行われることが一般的です。
つまり、
Session 1 の試験 = 期末試験
ですね。
あまり例は多くありませんが、中には他の科目との兼ね合いから Session 1 よりも前に期末試験を済ませてしまうという科目も多少ありました。
Season 1 が終わると、期末試験の結果に加えてそれまでの中間試験や小テスト、課題の点数などを加味した暫定的な最終成績が出ます。この成績は、Session 1 を終えての成績ということで Note 1(N1) のように呼ばれることがあります。
Session 2
フランスの成績は 20 点満点で単位取得の基準は N1 が 10 点以上であることなので、10 点未満の学生は追試を受けなければなりません。
本試験が行われる Session 1 に対して、追試が行われるタイミングのことを Session 2 といいます。つまり、
Session 2 の試験 = 追試験
です。また、追試験自体は Rattrapage と呼ばれ、Rattrapage の点数が Session 2 の成績 Note 2(N2)として扱われます。
N2 は N1 とは異なり、中間試験や小テストなどの点数を含まない追試 100 % の成績です。
Session 2 は Session 1 のように必ずしも同学期科目の追試でまとめられた期間になるわけではなく、同じ学期に A と B という科目という科目があったとしても
- A の Session 2:4月
- B の Session 2:5月
といった具合にばらけることも珍しくありません。また、追試専用の日が設定されていることはあまりなく、通常は放課後、場合によっては他の科目の授業中に受けなければならないこともあります。
授業と被ってしまう場合は当然その授業を欠席することになります…。
次の学期の科目の Session 1 と合わせて行われるというケースもありました。この場合は同時に勉強しなければならない科目が増えるのでかなり忙しいです!
Session 2 への登録
追試を受ける場合は、Session 2 に登録する必要があります。
というのも、追試を受けるのは 10 点に届かずに単位をもらえなかった人だけではないからです。実は、10 点を超えていたとしてもさらに点数を伸ばして成績を良くしたいという場合も受けることができるのです。
凡ミスをしてしまい明らかに実力がフルに発揮できなかった場合でも取り返しが付くので、個人的にはとてもいい制度だと思います。
そのため、基本的には
10 点未満の学生 + 10 点以上の希望者
が Session 2 に登録することになります。
具体的な登録方法は学校によって異なると思いますが、とみーの留学先の場合は学年主任の先生にメールを送ることで登録をしていました。
また、当然ですが Session 1 の成績開示や Consultation des Copies は、Session 2 への登録よりも前に完了しています。
追試の内容
追試は多くの場合、期末試験と同じ形式で行われます。
内容や難易度が大きく変わることはほとんどありません。
ただ、科目によっては授業で習った知識への理解を先生の質問に合わせて口頭で説明するリアルタイムという口頭試験形式になることもあります。
授業の中で「質的功利主義」と「量的功利主義」という2つの立場について勉強しましたが、この違いを説明してください。
といった感じです。
口頭試験は文系科目に限らず理系科目にもあり、この場合は授業で習ったことの応用をどのように考えるかという問いが出たり、具体的な問題が与えられ、それを解く過程をプレゼン形式で即興で発表することを求められたりと、色んなバリエーションがあります。
追試の方が極端に難しくなるということはないのでハンデのようなものはありませんが、
筆記試験(期末) → 口頭試験(追試)
のように形式が変わるとまた違った力が求められるため、形式への得意不得意に左右されてしまう可能性がある点は少し難しいかもしれません。個人的には
- 筆記形式:高得点になるも低得点になるも実力次第
- 口頭試験:高得点は狙いにくいものの極端な低得点にもなりにくく、単位がギリギリ習得できるくらいの点数になることが多い
という印象を持っています。
最終成績
Session 1 を終えた段階で N1 が 10 点を超えており、Session 2 に登録しなかった場合は N1 がそのまま最終成績 Note Finale(NF)になります。
その一方で Session 2 に登録をして追試を受けた場合の最終成績の算出方法は学校や科目によって変わってきます。
とみーの知る限り、次の3種類があります。
- N2 の成績をそのまま NF にする
- N1 と N2 の重み付き平均を NF にする
- N1 と N2 のうち高い方を NF にする
このうち1と2のケースでは、追試を受けたせいで成績が下がることがあります。
N1 の成績をすべて白紙に戻して追試1本で勝負しなければならないパターンです。
フランスでは単位を落としても獲得した点数によって GPA が変わるため、0 点で単位を落とすのと 9 点で単位を落とすのには大きな違いがあり、単位を落としたとしても成績が悪くなるのを恐れて追試を受けないという選択をする学生もいます。
ただし、単位を落としても追試を受けないという選択ができるのは、その科目が落としてもいい単位である場合のみです。
一方で、最終成績は N1 の影響をまったく受けないため、期末試験を欠席してしまった場合や N1 でひどく悪い点数を取ってしまった場合でも、 N2 でしっかり得点できれば十分高得点が狙えるというのはメリットでしょう。
N1 を 30 %、N2 を 70 % のようにして、両方の点数に重みを付けて最終成績を決めるパターンです。
これは、N1 の成績が悪ければ悪いほど、N1 の重みが大きければ大きいほど大変になります。
N1 が 10 点未満の場合、どんなに N2 が良くても悪い N1 の要素が最終成績に含まれてしまうため、最終成績で 10 点を越えるためには N2 で 10 点取っても足りません。
上の例でも N2 は 10 点取れているのに、N1 が 9 点だったせいで最終成績は 9.8(< 10)で結果として不合格となっています。
N1 の時点で 10 点を超えておりさらに点数を伸ばしたくて挑戦した場合は、追試で失敗しても点数が下がりにくくなるプラスの要素として働きますが、「追試を受けなければならない」学生にとっては事実上のハンディキャップとなるのです。
これは学生にとって1番ありがたいパターンです。
追試を受けたからといって必ずしも点数が改善するわけではなく、中には期末試験以上に成績が振るわないというケースもあるでしょう。
もともと N1 が 10 点を超えてた学生がさらに点数を上げようとして追試に挑戦したものの、結果として N2 が 10 点を下回ってしまった、ともなると目も当てられませんよね。
このルールで最終成績を計算する場合は、たとえ追試で失敗したとしても N1 の点数より下回ることはないので積極的に追試にチャレンジしていけます。
まとめ
今回はフランスの大学・グランゼコールにおける追試(試験)の仕組みを解説しました。
フランスでは N1 や Session 1 など、実際に経験するまで出会わない特別な言葉が多いので、今回の記事が参考になれば嬉しいです!
フランスにおいて、科目の試験は次の2つの Session から構成されます。
- Session 1:通常の期末試験に相当する試験期間
- N1:Session 1 終了時の暫定最終成績
- Session 2:追試験(Rattrapage)を受けるタイミング
- N2:Rattrapage の点数
Session 2 は N1 が 10 点に届かなかった学生だけでなく、自身の獲得した点数をさらに上げたい意欲的な学生も登録できるようになっていますが、その結果点数が下がることもあります…。
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