今回は全4回のうちの第1回で最初〜1:00くらいまでの文章を扱っています!
- 0:00 〜 1:00
- 1:00 〜 2:00
- 2:00 〜 3:00
- 3:00 〜 最後まで
参考 South Park とは??という方は、こちらのページをご覧ください。
今回のスクリプトは South Park Archives からの引用であり、本記事の関連するすべての内容は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承 3.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
また、South Park に関する画像は Comedy Central に著作権があり、関連するロゴやタイトル、キャラクターはすべて Comedy Partners の商標となっています。
The Spirit of Christmas Jesus vs. Frosty
今回取り上げるのは、「The Spirit of Christmas」という
サウスパークの記念すべき第1話
…ではなくサウスパークの元となったお話です。
「spirit」には「魂、精神」といった意味がありますが、ここでは「気分」として「クリスマス気分」のように捉えるとしっくりくるでしょう。
The Spirit of Christmas と名のつくエピソードは2つあり、今回はそのうちの前半の「Jesus vs. Frosty」というエピソードを取り上げます。
この作品は「Frosty」という雪だるまが登場する「Frosty the Snowman(wikipedia)」という曲を題材に作られているため、タイトルは「イエス・キリスト対雪だるまのフロスティー」という意味です。
ちなみに、「frosty」の本来の意味は、次の通りです。
サウスパークができる前(1992年)の作品なのでキャラクター設定がまだ固まっておらず、かなり古い機材を使って作られているため見た目は華やかではありませんが、4分程度と短い作品なので気軽に楽しめる点が嬉しいですね。
過去には公式サイトで視聴できたようですが、どうやら厳密にはサウスパークでないとのことから削除されてしまったようです。現在はファンによりアップロードされた動画が YouTube(検索結果が開きます)などで確認できます。
登場キャラクター
キャラクター設定はまだはっきりしていませんが、今後の説明のために簡単に名前を紹介しておきましょう。
スタン
赤い帽子の少年がスタンです。
こんな感じの少年がスタン!
カイル
黄色い帽子で緑の服を着ているのがカイルです。
このグラフィックは現在のサウスパークのだから少し見た目が違う…
カートマン(この作品ではケニー)
水色の帽子で赤い服を着た肥満体型の少年が本来カートマンです。
太ってないぞ!
本来というのが少しややこしいところで、現在のサウスパークではこのグラフィックの少年がカートマンなのですが、この作品に限りこの少年はケニーと呼ばれています。
ケニー(この作品では名無し)
オレンジのフードで顔を隠した少年が本来のケニーです。
この作品では名前が与えられていない模様…
おそらくこの作品に興味を持っているということは、サウスパークに興味があるということだと思うので、カートマンとケニーの名前は少しややこしいですが現在の設定に合わせて扱っていきたいと思います。
会話には極力顔グラを付けるので、見た目重視で覚えていきましょう!
今回のスクリプト
古い作品といっても会話は非常に早いので聞き取りは難しく、カジュアルな表現が多いので人によってはまったく理解できなかった…ということもあるかもしれません。
現在のサウスパークに比べるとまだゆっくりな方ではありますが、1発で聞き取れた人は本当にすごいです!
ですが、
学校などではこうした表現を習うことがなく、日本で生活している限りはなかなか耳にする機会はないのでできなくて当然
です。
まったく理解できなくてもまったく問題なし!
これから1つずつ文を解説していくので、聞き取れなかった方はまず文面で理解し、その後スクリプトを見ながら徐々に耳を慣らしていきましょう!
スクリプトはこちらです(引用元のスクリプトの誤字を一部修正)。
- 女性:I keep hearing this melody in my ear…
- 少年たち:Frosty the Snowman was a jolly, happy soul. With a corncob pipe and a button nose, and two eyes made out of coal. There must have been some magic in that old silk hat they found. For when they placed it on his head…
- スタン:Dude!
カイル:What?
スタン:Don’t put the magic hat on the snowman. - カイル:Why?
スタン:’Cause if you do, he’s gonna come to life.
カイル:Cool! - スタン:No it’s not cool! My sister – in, in Minnesota – put a hat on a snowman and it tried to kill her!
- カイル:Fuck him, let’s do it anyway.
ケニー:Yeah. - 少年たち:There must have been some magic in that old silk hat they found. For when they placed in on his head…
構文解析と意味の取り方
構文解析などという高尚なものではありませんが、1つずつ丁寧に文を見ていきます。
1ブロック目
I keep hearing this melody in my ear…
最初は女性の歌から始まります。ゆっくり発音されるためここは聞き取りやすかった人も多いのではないでしょうか。
この文は「Jesus Is a Love Song」という曲の歌詞です。
聞き取れはしたけど音が繋がってて何て言っているかわからなかった…
という人もいるかもしれませんが、心配無用です!
この文に特に難しい点はないと思います。
I keep hearing this melody in my ear…
まず、「hear」の訳し方に注意しましょう。「hear」は意識的に聞きにいくのではなくて、「聞こえてくる」ことを表す動詞です。
また、「this melody」は「このメロディー」ですが、ここではまだどんなメロディーかは言及されていません。「this」にはこれから述べる内容を指す後方照応と呼ばれる使い方があり、今回はそれを利用して「このメロディーが耳になり続けている→こんなメロディーだよ」という構造になっています。
そのため、この後に具体的なメロディーの説明が続くことが予想できます。
サウスパークはかなり難しい部類ですが、何回聞いてもいくら解説されても本当にまったくわからない…という方は英会話に対する取り組み方を見直すことも大切です。
この本は、海外ドラマに限らず実際に日常的に使われる単語が非常に少ないという点に注目し、具体的な練習問題を通して英会話として使える英語を身につけるというコンセプトで作られています。Amazonの売れ筋ランキングで第1位を取ったこともあり、試し読みをすることもできるので気になる方はぜひチェックしてみてください!
2ブロック目
Frosty the Snowman was a jolly, happy soul. With a corncob pipe and a button nose, and two eyes made out of coal. There must have been some magic in that old silk hat they found. For when they placed it on his head…
1ブロック目の「訳出のポイント」で見たように「具体的なメロディー」が登場しましたね。
ちなみに、この曲が題材となった「Frosty the Snowman(YouTubeが開きます)」です。
1文目
Frosty the Snowman was a jolly, happy soul.
ここはバックの音楽に被って少し聞き取りにくいかもしれません。
シンプルな過去形の文です。
Frosty the Snowman was a jolly, happy soul.
時制が過去形になっているのは、曲が雪だるまのフロスティーにまつわる話(おとぎ話)を歌っているからでしょう。
昔々、フロスティーという雪だるまがいて…
みたいなイメージです。
上で説明したように「soul」は形容詞を伴って「〜な人」ですが、ここでは主語が雪だるまなので「フロスティーは〜な雪だるま」のように訳すのが自然でしょう。
もしかしたら「a jolly, happy soul」の部分に違和感を感じた人がいるかもしれません。形容詞を並べるときは
A jolly and happy soul
のように「and」で繋ぐように学校などで教わったと思います。
実は今回のケースでは「and」であっても「,」であっても構いません。これは、
形容詞が名詞を同じ程度に修飾しており、順番を入れ替えても意味が通る場合にはカンマで繋いで良い
というルールがあるからです。
実際に「a happy, jolly soul」としても意味は変わりませんよね。
2文目
With a corncob pipe and a button nose, and two eyes made out of coal.
「corncob pipe」、「button nose」、「two eyes」、「made out of」の部分はテンポよく発音されるため、難しい部分です。
これは完全な文ではなく、with に伴う名詞句を並べた形です。
正解は前の文の「Frosty the Snowman」で、どんな雪だるまかを説明をしているのですね。
「with」は「〜と、〜を伴って」の意味ですが、文脈に応じて自然な日本語に直しましょう。
「coal」は「石炭」です。今回の「Jesus vs. Frosty」では目の様子があまり分かりませんが、実際のフロスティーの目はとても綺麗に描かれることが多いです。
石炭からこんな綺麗な目を作り出すなんてすごい!というのが「made out of」という表現に表れているわけですね。
3文目
There must have been some magic in that old silk hat they found.
この文には特に難しい単語はないでしょう。
must を利用した過去形の文ですね。
文の構造が掴みにくい人は、次のように関係代名詞を補うと理解しやすいはずです。
There must have been some magic in that old silk hat (which) they found.
「There must have been 〜」は「〜があったに違いない」なので、文のメインとなる意味は「何らかの魔法があったに違いない」です。
「in that old silk hat」はどこにその魔法が宿っていたかを表す句で、「あの古いシルクハットに」となります。
「they found」の「they」はここでは明言されていませんが、本当は前の文との間に歌詞が省略されており、「children」を表しています。
ちなみに、ここでの「that」は正確には関係代名詞が続くことを示すために用いられているだけなので、わざわざ「あの」と訳さない方が自然です。
「the」と置き換えても意味は大きく変わりません。
4文目
For when they placed it on his head…
この文は完了していません。次の少年のセリフが入って来てしまったので、途中で終わっています。
この文は本来次のような形です。
For when they placed it on his head, S’ + V’.
「they」は子供たち、「it」はシルクハット、「his」は雪だるまのフロスティーです。
どうやらフロスティーは男の子のようですね。
本当であれば「なぜなら彼らがそれ(シルクハット)をフロスティーの頭に乗せたとき、〜だったからです」となりますが、実際は「S’ + V’」の部分が省略されてしまっているので、理由が明らかになりませんでした。
これは、これからその理由が物語の中で語られるからで、「S’ + V’」の部分を省略したことで意味深な雰囲気を作っているのです。
3ブロック目
Dude!
What?
Don’t put the magic hat on the snowman.
「dude」は初めて聞く人が多いかもしれませんが、それ以外はゆっくりで聞き取りやすかったのではないでしょうか?
頻繁に用いられるため気軽に使ってしまいがちですが、スラングであるということは覚えておきましょう。状況によっては無礼に捉えられたり、常識のない人だと思われたりする可能性があります。
スタンとカイルの会話です。
- スタン:Dude!
- カイル:What?
- スタン:Don’t put the magic hat on the snowman.
この「dude」はひとまず「おい!」としておきましょう。
スタンに「おい!」と言われたのでカイルが「ん?何?」と返事をします。
これは否定の命令文ですね。「雪だるまに魔法の帽子を被せるな」です。
雪だるまに帽子を被せて欲しくなかったから、スタンはカイルに「おい!」と言って止めようとしたのです。
このように、「dude」にはあまり意味がないので深く考える必要はありません。
4ブロック目
Why?
‘Cause if you do, he’s gonna come to life.
Cool!
スタンとカイルの会話の続きですね。
- カイル:Why?
- スタン:’Cause if you do, he’s gonna come to life.
- カイル:Cool!
雪だるまに帽子を被せるなと言われたので、それに対する「なんで?」です。
「if you do」は「あなたがすると」ですが、この「do」は先ほどの「put the magic hat on the snowman」を置き換えた代動詞として使われています。
If you put the magic hat on the snow
とまったく同じですが、繰り返して言うのは面倒なので置き換えているのですね。
「そうしたら」くらいに訳すと自然でしょう。
「gonna」は South Park Theme で扱いましたね。まとめると、「もしそうしたら、フロスティーが動き出すからだ」です。
雪だるまが動き出すと聞いた感想です。「すっげぇ!」という感じでしょうか。
5ブロック目
No it’s not cool! My sister – in, in Minnesota – put a hat on a snowman and it tried to kill her!
この文はゆっくりなので聞き取りやすい方です。
カイルの「Cool!」に対するスタンの反応です。
「Minnesota」はアメリカにあるミネソタ州のことです。
簡単な構造、語彙ばかりなので難しいところはないでしょう。
ちなみに、この文からスタンに姉か妹がいたことがわかりますね。
この「和訳しよう」シリーズでは、中学文法をある程度押さえられた方向けに説明を作成しているため、中学校で習う内容に抜けや漏れがあると少し難しいかもしれません。
できない部分がわかっている場合はその部分だけ復習すれば問題ありませんが、全体的にまとめて復習したい場合はこの本がおすすめです。
説明やイラストがわかりやすくまとまっていることに加え、必要な事項が網羅されているため、この本だけで基本的な部分はすべて復習することができます。
6ブロック目
Fuck him, let’s do it anyway.
Yeah.
当然公式の場では口にしてはいけない言葉ですし、どんなに仲が良い関係であっても許されない場合があるため、知っておくことは大切ですが、相当のことがない限り自分では使わないようにしましょう。
海外諸国における言葉の重みは、日本とは比べ物なりません。
SNSなどの非公式な場でカジュアルな表現(gonna や headin’ など)が文字として書かれることはありますが、「fuck」に関しては例え書くとしても「f*ck」や「f**k」、あるいは「****」のように伏せ字にされるほどなので、いかにパワーがある言葉なのかがわかるでしょう。
スタンが雪だるまに帽子を被せてはいけない理由を述べましたが、それに対するカイルとケニーの反応です。
カイルの発言は2つに分けることができます。
- Fuck him
- let’s do it anyway.
スタンの発言に対してで、ここでは「あいつの言ってることなんか知らねぇよ」といった感じです。
友達なのにいきなり無視です。辛辣ですね。。。
「do it」は雪だるまに帽子を被せるということを表しています。
ケニーの「Yeah」は「Yes」のカジュアルな形です。「そうだな」くらいに訳しましょう。
7ブロック目
There must have been some magic in that old silk hat they found. For when they placed in on his head…
これは2ブロック目の歌と同じです。
雪だるま降臨の儀式みたいになっていますね。
今回はここまでです!シルクハットを雪だるまに被せたら何が起こるんでしょうか!?
次回乞うご期待です!
まとめの日本語訳とクイズ
- 女性:このメロディーが耳から離れないの…♪
- 少年たち:フロスティーは陽気で楽しい雪だるま♪コーンパイプにボタンの鼻、を付け、石炭の目が2つ♪子供たちが見つけた古いシルクハットには何か魔法の力があったに違いない♪というのも、彼らがシルクハットをフロスティーの頭に乗せると…♪
- スタン:おい!
カイル:なんだよ?
スタン:雪だるまに魔法の帽子を被せちゃだめだ! - カイル:なんでだよ?
スタン:そんなことしたら雪だるまが動き出しちゃうだろ。
カイル:すっげぇ! - スタン:すごくなんかない!俺のお姉ちゃん…ミネソタ州にお姉ちゃんがいるんだけど、雪だるまに帽子を被せたらそいつはお姉ちゃんを殺そうとしたんだ!
- カイル:あいつの言ってることなんか知らねぇよな、とにかくやっちまおうぜ。
ケニー:そうだな。
サウスパークでは色んな英語表現が学べますが、それらを実際に使って英語を話せるようになるには英語で人とコミュニケーションを取る経験が欠かせません。でも、日本で生活しているとそういう機会ってほとんどありませんよね。
この本は「ひとりごと」を英語ですることで、自宅にいながらひとりで実践的な英語を使えるようになるというコンセプトのもと作られています。文法も知識からスタートするのではなく、「ひとりごと」として口に出しながら身に付けていくため、私たちが日本語を身に付けていったのと同じように自然に習得することができます。
クイズ
今回の内容を復習しましょう。
コメント